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「本当におぶって貰おうかしら…」
独り言を漏らす辺り、虚弱なアカネには久方ぶりの外出が応えたらしい。
アカネが少し姿勢を変えた拍子に、荷車の果実が1個転がり落ちた。
「あ」
果実は地面に落ちても更に転がり続ける。
「所が!それはとんだ勘違いだったんだと」
「マジ!?」
「ッハハハ、リーダーなっさけねぇ」
そこに、何やら談笑しながら歩く3人組の男が現れ、足元の果実を気付かずに踏み潰してしまった。
「ちょっと、あんた達」
荷車に座っていた自分の所為でも有るからか、アカネが男達を呼び止める。
「何だ?俺達に用か?」
「あれ!?」
「っちょちょちょ、何か踏んでるって」
アカネの手前側からそれぞれノッポ、デブ、チビの3人組は後ろを振り返り、自分達の内のデブが果物を踏み潰していた事に気付くと、
ノッポが硬貨を取り出してアカネに投げ付けた。
アカネは通りすがりなのだが、果実を売っている商人だと勘違いされたらしい。
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