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「悪い!これで勘弁してくれ」
「高!?」
「っへへへ、お前気前良いな」
3人組はすぐに消えてしまった。
アカネは3人組のいずれとも全く面識が無かったが、
彼等の肩に刻まれていたタトゥーにだけは見覚えがあった。
「あいつら…」
「あの、ちょっと…」
果実の持ち主と思しき老婆が現れ、アカネに声をかける。
アカネは硬貨を拾い上げ、それを老婆に投げ付けた。
「これ、あいつらが踏み潰した分よ」
この硬貨1枚で、踏み潰したのと同じ果物を3個は買えるだけの価値がある。
「え?えっと、毎度あり…で良いのかしら?お釣りを…」
老婆はお釣りを返そうとポケットをまさぐるが、
アカネはタバコを地面に落とし靴で踏んで火を消すと、立ち上がって老婆から離れてしまう。
「あら?お客さんお釣り…」
「要らない」
アカネは振り向かずに背中で答え、4人の元へ戻った。
ノゾミもジュリアも大人しくしていて、ぬいぐるみ騒動は収束している様子だった。
休憩から戻ったアカネを加えて一行は5人となり、オープンカフェを目指して再度歩き始めた。
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