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昼休みの後の5時間目はちょうどお昼寝タイムの時間でウトウトしてしまう。眠ってはいけないと思いながらも瞼が落ちてカクン、と身体が動いてハッとしては、またウトウトするのを繰り返す。
サラはチラリと隣の席を見た。洋一が机に突っ伏してタオルを枕替わりにしてすやすやと気持ちよさそうに眠っている。中学のころからそうだったけれど、洋一くんは成績が良くて常に学年ベスト5に入っている。その特権なのかタオル持参で授業中に居眠りをしていても先生に注意されない。羨ましい限りだ。自分のノートに書かれたミミズを見て黒板のほうを慌ててみたが、時すでに遅し。書き写したい黒板の文字はすでに消えていた。これではノートを取ってもわからない。
授業が終わって洋一が起きる。
「ふわーあ…、よくねた…。サラ、次なんだっけ…?」
「体育だよ」
サラは着替えの準備をしながら答えた。
「うっわ、メンドくせー…」
全くもってそうだ。5時間目に体育があるとジャージに着替えて授業に行って、授業が終わってまた制服に着替えるからだ。運動部に入ってる子はジャージのままOKだけど、帰宅部の私たちにはこの工程がすごく面倒くさい。
「じゃあ先行くね」
「おう」
答えて洋一はもう一度大きなあくびをした。
「それで、2人はめでたく幼馴染になったのね!?」
体育館でサラの隣に座った美月が目を輝かせた。体育の授業は1、2年の女子で2クラス分合同の授業になっている。
「まあそういうわけです」
「これから毎日一緒になるのね?」
「そうでもないですよ。生活スタイルは全く別なので行きはバラバラで、委員会がある日以外の帰りは別々ですし、休日も全く会いませんから」
「えーっ!?一緒に夕食食べたり、宿題教えあったり、窓から行き来とかしないの!?」
「美月先輩…、それは小さなころからそうしていればの話ですよ。私と洋一くんは最近幼馴染になったばかりなので…」
「そうね、それはこれからね!」
「……はあ…、」
サラはなぜ美月がうきうきしているのかわからない。美月は美月で高校では今度こそサラと洋一を自他ともに認める恋人同士に仕立て上げようと企んでいた。中学の時に噂を流したのも、高校へ入学してから縁結びカップルの噂を広げたのも美月だった。
一度はお互いを意識し合ったんだから早くくっついちゃえばいいのに、と美月は思った。
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