4人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
終業チャイムが鳴って帰りのホームルーム。以前からお互いを知り合う者としてサラと洋一は学級委員に選ばれた。
「じゃあ学級委員は谷田部と桐谷な!この後早速仕事がある。残るように」
担任の言葉に2人はガックリきた。一緒になる奇妙な縁は高校生になってからパワーアップしたようだ。ただでさえ一緒になることが多いのにこの上委員会までも一緒になるとは……
「オレは学級委員のキャラじゃねーよ」
「わたしだってまとめ役なんて向いてないよ」
呼ばれた会議室へ行くと各学年の学級委員が揃っていた。
「あら、また一緒なのね」
美月はサラの中学の書道部の先輩だ。
「美月先輩!」
「どーもっス」
挨拶をすると美月の隣に座っている相方の男子の先輩が口を開く。
「へー、君たちが噂の縁結びカップルか」
「縁結びカップル?」
「何スかそれ…?オレたちは付き合ってねーっスけど」
「小中高同じ学校、ずっと同じクラスになる貴方たちは深い縁で結ばれている。そんな2人と一緒に過ごせば、好きな人と恋人同士になれるという噂よ」
「まだ4月始まったばかりですよ。噂が立つのが早すぎませんか?」
サラが聞いた。
「噂に早いも遅いもないのよ。入学早々大変ね、貴方たちも…」
「美月先輩…、面白がってますよね…?」
学級委員の集まりが終わるとちょうど職員室から出て来た担任に捕まり、手伝いという名の雑用を押し付けられて、学校を出る頃には2人はオレンジ色の夕日に照らされていた。
「今日は大変だったね。縁結びカップルとか言われちゃったし」
「アホらしーわ。そういうのは自分たちで努力するもんだろ。オレたちは関係ねーよ」
正門をすぎたところでサラが切り出した。
「じゃ、わたしこっちだから」
「おう!気をつけて帰れよ」
洋一が応える。
「 ね
また明日 !
な 」
重なった2人の声とは別にサラと洋一はそれぞれ背を向けて帰っていく。
10年目の妙な縁のはじまりだった。
最初のコメントを投稿しよう!