縁結びカップル

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   昼休み、オレはサラの姿がないことに気が付いた。いつもならクラスの女子と教室で弁当を広げてるのに、教室内にはいない。 「なぁ、サラ知らねえ?」  サラの後ろの席に座ってる奴らに聞く。 「桐谷さんなら、4限目が終わってすぐA組の女子に連れていかれたぜ」「確か屋上って言ってたな」「谷田部寝てたから気付かなかったろ…」 「さんきゅー」  教えてくれたクラスメイトに手を振って教室を出ると屋上へ向かう。  屋上にいるならちょうどいい。今朝のことを確認しておきたい。すごい美人がサラんちの隣に引っ越してきた件だ。  昨日からオレは兄貴と一緒に駅前のマンションで暮らすことになった。兄貴が挨拶回りから帰ってきたとき…… 「隣の女の子超可愛いかった!仲良くなって一緒にお買い物したーい!!」  化粧をして女言葉でくねくねとしているがコイツは正真正銘の男でオレの兄貴だ。 「アホか!この変態が……っ!その恰好でうろつくなって言っただろ!!」 「だって、この恰好のほうがカワイイんだもーん!」 「…………」  モデルの兄貴は事務所と家の往復は女装している。ファンやマスコミに住所が知られないようにするためだが、半分以上は可愛いもの好きの兄貴の趣味になっている。 「そういやお前と同じくらいの子だったな…。確か、きり……、桐生…じゃないな。桐田…いや、違う………何だっけ??」 「名前覚えてねーのかよ」 「きり何とかという苗字だった」  という兄貴の言葉と、 ー昨日すっごい美人さんがうちの隣に引っ越してきたんだよ!!ー  という今朝のサラ。    まさかとは思うが…、  屋上の扉を開けると、サラが3人の女子に囲まれていた。これはあれか?女の呼び出しというやつか? 「おい、」何してんだよという声は女子たちの叫び声で消された。 「あーっ!彼氏の方が来たわよ!」 「これで確実ねっ!!」 「ラブラブカップルになれるわ!」  わけわかんねーことを口走る女子たちの合間を通ってサラの所へ行く。 「サラ、なんだあいつらは…」 「わたしたちと一緒に過ごすと恋愛成就のご利益があるみたいだよ」 「ご利益ぅ!?」 「ほらこの間、美月先輩が言ってた縁結びの……」  ああ、縁結びカップルとかいうやつか。アホらしー噂が流れたもんだな…。 「で、何だって?」  聞くと、サラは驚くべきことを口にした。
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