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なにもない真っ白な空間に移り、五人がやってくるのを待つ。ほどなく、アイ、ユウキ、ノゾミ、トモコ、ジュン、の五人が目の前に転送されてきた。
「ここは……? あ、あなたは!?」
「レ……レ……レザ!? レザなの? まさか!」
五人の目に恐怖が宿る。
「ようこそ美少女戦士たち。ここは夢の世界だ」
「あなたは死なれたのではなかったのですか?」
「お前たちがよく知っているはずだ。あの程度の力で俺を倒せるわけがないだろう。ダメージを受けたのはそっちのはずだ」
「じゃあ、あの通達は嘘だったと?」
「地上へ戻っていることは嘘ではなかっただろう?」
「な、なんて卑怯な!」
ユウキが杖を持ち気丈に振る舞う。
「卑怯? そうかもしれん。だが、お前たちは自らの『敗北』を知りながら、『勝利』を受け入れた。国民はおろか首脳も騙し、栄光にひたる。それは卑怯ではないのか?『勇者』の認定が、政府批判の回避策だと知ったら、国民はどう思うだろうな」
「ぐっ……」
やはり、脛の傷に触られると何も言えなくなるようだ。
「おまえたちをここへ呼んだのは、批判するためでも、戦うためでも無い。話し合いをするためだ」
「な、なにを話すというのよ?」
アイが虚勢をはる。ふるえた声では遠吠えにもならん。
「頼みが二つある。まずひとつは……許可しない限り、二度と魔界へ来るな」
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