君にベタ惚れ

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「……そうだよね、うん。ああ、参考までにそのベタの画像もらってもいいか?」 「ああ。じゃ、今送るよ。ほい」  アイコンが初期設定の人影のままになっている津田に、じいちゃんの魚の画像を送るときになって、俺は津田の名前表示がフルネームになっているのに気づく。 「津田、お前下の名前なんて読むの?」 「かいり。海の里って書いて海里」 「うみ……さと……で、かいり。へー、変わった名前だな。マンガに出てきそう」  俺はスマホの画面とにらめっこをしながら、何気なく言った。 「ああ。だから、あまり好きじゃない」 「そうか? かっこいいと思うけど。そういえば、俺の名前、言ってなかったな。ごめん。俺……」 「二組の深山亮だろう?」 「何で知ってるんだ?」 「深山と二俣と大桑が仲良くしてたら、僕的にはかなり注目だね。おかげで、下の名前もうっかり覚えたよ」  なんだかニヤニヤしながら、津田は答えた。そんな表情をすると、ちょっとマニアっぽさが表に出てきて、みんなが「変な奴」というのも何となく頷ける。 「……なんで? そんな変わった名前か、俺達?」 「というか、その取り合わせで仲良しって言う事がね。そういや、こいつには名前はあるのか?」  俺が送信した画像を見ながら、津田は尋ねてきた。     
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