君にベタ惚れ

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「じいちゃんから名前は聞いてないからなぁ……でも、名前つけるなら、美人な名前つけてやりたいな。こいつ、きれいだもんな」 「……先に言っておく。こいつはオスだ」 「えええええっ!」  思い切り驚く様子の俺に、津田はため息をついた。 「生物の世界では、オスの方が華やかな事は往々にしてあるだろ。クジャクのオスとメスの差くらい知ってるだろう?」 「クジャクは知ってるけど……なんか軽くショック。わー、こいつ、オスなんだ」 「間違えても、『姫』とか『子』とかつけるなよ。恥かくのは君だからね」  訂正。いい奴かと思ったけど、ちょっとやな奴。わざわざイヤミったらしい!  キーンコーン……  昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴った。早いところ教室に戻らないといけない。 「あ、俺戻るな。その、ありがとう。助かった。また分からないことがあったら、教えてくれるか?」 「そのためにLAINでつながったんだろ?」 「ん。サンキュ。じゃ、何かあったら、頼らせてもらう」  俺はスマホをポケットに押し込むと、教室に向かう廊下を走った。  ヤクザかどうかとかは分からなかったけど、でも、津田はそれほど悪い奴だとは思えなかった。まあ、多少は変わっていて、イヤミな奴だと思うけど……。     
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