君にベタ惚れ

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 俺にその知らせが来たのは、昨日の放課後だった。友達と三人で盛大に空いた腹をハンバーガーでこれからいざ満たそうと言う時だった。 「亮! スマホ鳴ってるぞ」  トレイにハンバーガーとポテトを山盛りにして戻ると、二俣がシェイクをすすりながらテーブルの上に乗っていた俺のスマホを指差した。 「それ、電話じゃね? お前のアプリの音と違うじゃん」 「みたいだな……なんだろ」  普通ならLAIN経由の通話なのに、珍しく電話がかかってきたことに、俺は疑問感じながらスマホを取り上げる。 「あれ、母さんだ。何電話してきてんだよ」 『よかった、捕まった』 「何? 帰り買い物するの?」 『違う。おじいちゃんが危篤だから、早く戻ってきて。すぐに病院行くから』 「え? キトクって、何それ。俺今ハンバーガー食ってる」  キトク、って言葉の意味が一瞬わからなかった。そんな言葉、マンガやドラマでしか聞いた事がなかったし。 『駅前の店? じゃあそのままそこにいて。車で拾っていくから』  母さんのあわてているような声が、一緒にいた大桑や二俣にも聞こえたのだろう。ポケッとしている俺を不安そうに見つめていた。     
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