355人が本棚に入れています
本棚に追加
ベッドにまっすぐ横たわったじいちゃんを、コードやらチューブやらがたくさん取り巻いていた。じいちゃんが改造手術でも受けてるように見えて、いろんな意味で俺はどうしようかと思った。
「亮。母さん先生と話してるから、おじいちゃんについていて」
「わかった」
ピンクの制服の看護師さんたちも忙しいらしく、ちょうど誰もいなくなったのをいいことに、俺は近くにあったパイプ椅子をベッドに寄せると、じいちゃんの枕元に座った。でっかい機械が邪魔だったけど、これが今のじいちゃんの命を支えてくれるのかと思うと、どかすわけにもいかない。
何をどうすればいいかわからなかったけど、さっき母さんがしていたように、じいちゃんの手をそっと握ってみた。子供の頃は大きくてごついなぁと思っていた手は、俺の手の中で、ずいぶん小さく、しなびて感じられた。それに、とても冷たかった。
(……じいちゃん、死んじゃうのか?)
うちは俺が小学校に上がるときに両親が離婚して以来、ずっと母子家庭だった。母さんが仕事の都合で俺のことに手が回らなくなると、よくじいちゃんが俺の面倒をみてくれたっけ。夏休みの工作を手伝ってくれたのはじいちゃんだったっけ、じいちゃんの作るカレーはうまかったなぁ、とか思い出しながら、涙がこぼれそうになるのを必死にこらえる。
最初のコメントを投稿しよう!