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「お嬢様……またそんな汚い言葉を使って……」
「誰がお嬢様だっ! その妙な小芝居を止めろっ! 手足を解けっ! 今すぐこんな服脱いでやる……!」
『お嬢様』が暴れ出してアンティークの椅子がガタガタと激しい音を立てる。
今にも椅子ごと倒れてしまいそうな『お嬢様』の危なげな様子に動揺することもなく、ディランは手元の小さなリモコンのスイッチをオンにした。
「ふぁああっっ……!」
その途端、まるで雷にでも打たれたかのように『お嬢様』が悲鳴を上げ背を撓らせる。
「ぁっ……ぁあっ……!」
そのまま椅子の上でびくびくと震え始めた『お嬢様』に向かって、ディランは恭しく告げた。
「暴れると危ないですよ」
「てめっ……ふざけっ……! ぁんんっ……! 今すぐスイッチを切りやがれっ……!」
「切ったらまた暴れるでしょう? 椅子が倒れてお嬢様が怪我でもしたら大変です」
『従順な執事』はそう嘯いて手の中でリモコンを弄ぶ。
「く、ん――っ……! あばれっ……ない、からっ……!」
「分かりました。それなら――」
『お嬢様』の言質を取って、ディランは漸くスイッチをオフにした。
「は……ぁんっ……」
スイッチが切られても、未だ電流に痺れているように『お嬢様』が身を震わす。
荒い息にヴェールがゆらゆらと揺れていた。
「随分と苦しそうですね……。コルセットを強く締め付けすぎてしまったでしょうか?」
あくまで恭しく心配そうに呟いてディランが跪く。
『従順な執事』に足元まである長いスカートの裾を掴まれて、『お嬢様』はぎくりと身を竦めた。
「馬鹿っ! 止めろっ……!」
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