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外国人であるはずのサンタクロースからの手紙は、達筆な平仮名で書かれていた。
いつも母が愛用していた、桜の描かれた縦書きの便箋に。
中綴じが外れ、ページがくたくたになるまで読んだ絵本のタイトルは『かぐやひめ』。
シンデレラや白雪姫ならまだしも…
「おもいっきり、『和』じゃないの」
思わず声に出し呟いた紀子は、我に返り、クスッと笑った。
「ママー、置いていきますよ~!」
気がつけば、娘のマミは、紀子の遠く前を歩いていた。
<了>
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