のんちゃんのサンタさん

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毎年クリスマスが近づくと、忘れられない出来事がある。 30年前、紀子が娘のマミと同じ年頃のことだ。 「クリスマス、サンタさんから何をもらう?」 12月に入って間もなくの学校からの帰り道。 数人の同級生たちの間で、他愛もない会話が飛び交った。 「『さんたさん』って、何?」 人の名前とも思わず、紀子は尋ねた。 「えー、のんちゃん、サンタさん知らないの?」 「のんちゃんちには、サンタさん来ないの?」 子どもたちは、サンタクロースの存在を知らない紀子を、珍しいものを見るように囃し立てた。 「クリスマスに、プレゼントを持って来るんだよ」 「何でも、好きなものを持ってきてくれるんだよ」
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