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「おかえり!」
パートから帰ったばかりだったのだろう。母が職場の制服姿のまま、キッチンに立っていた。
「のんちゃんの好きなオムライス、すぐ作るからね」
振り返る間も惜しむように料理をする母親の背に向かって、紀子は問いかけた。
「お母ちゃん、どうして、うちにはサンタさん来ないの?」
母の動きが止まった。
「のんちゃん、悪い子だから?」
手を止めた母は、ゆっくりと振り返った。
てっきり悲しい顔か、困った顔をしていると予想していたのに。
満面の笑顔を向けてきた母に、紀子は戸惑った。
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