第1章

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ある冬の吹雪いた夜。 その夜は何時もにもまして吹雪く夜で、俺は妹の深雪とあずさと一緒に病床につく母を静かに見守っていた。 病院のベッドの上で、日に日に弱っていく母。 病院の先生や看護士さん達に呼ばれ、危篤状態の母を病室の外から静かに見守る。 「お母さん…お母さん死んじゃ嫌だ…。」 「あずさ!そんなこと言うな!母さんだって今頑張ってるんだ。」 半分泣きじゃくるあずさを俺は咎める。 母さんは今頑張っているんだ…。俺達兄妹で見守ることしか、祈ることしか出来ないけど…。 深雪は近くのトイレに向かって走っていく。 大人しくて気の優しい深雪はなんとなくでも今の状況がわかっていたのだろう。 人に泣き顔を見られたくないのだろうと俺は思った。
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