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すると病室から先生が出て来た。
「霧島さん、中へ。」
俺は深雪を呼び、先生に一礼すると深雪とあずさを連れ、病室の中へと入る。
「母さん…。」
病気とは言え、あまりにも痩せ細った母の姿は見るに見かねるものだった。
母のそばへ行くと俺は母の左手を、深雪とあずさは右手を握った。
「翔太……深雪……あずさ……今まで……ありがとう……ね……」
「母さん…止めろよ……」
母は優しく微笑むとそのまま動かなくなった。
病室には機械の無機質な音と看護士さんや妹達が啜り泣く声、先生の「御臨終です…」の弱々しい声。
神様は無慈悲にも母を天国へと連れていった。
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