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「もういいよ。いい加減読まなくていいってば」
感動しながら、ハンカチで目元を押さえながら赤雅君が、僕のにっきを読んでいる。
声に出して、声を震わせて。
馬鹿なんじゃないかなって思うけど、僕と同じ超名門、聖ロッテマーニ学園高等部に合格してるので頭はおかしいわけではないらしい。
わざわざ、僕の部屋と向かい合わせの部屋に住んでいるせいで、窓を開けたら、何故かあっちも窓を開けて話しかけてくる。
今日は、何故か僕の日記を読みだした。なぜ君が持ってるんだろう。
でも同じ部屋には、いられない。
いたら胸が苦しくなって、僕は倒れてしまうから。
「五歳だよなあ。懐かしい」
「そうだね。懐かしいね」
「まだ俺がお前をアレルギーと知らず殺しかける前だもんな」
「そうだね。まだ僕に触れてた時期だね」
ある日、僕は林檎の毒に倒れてしまったんだ。
林檎アレルギー。
知らずに食べさせたのは、赤雅くんだった。
僕と赤雅君の、触れられる距離に居るのに触れられない、そんな日々の始まり。
始まりは、アレルギーだった。
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