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「……ごめん」
「触れられなくせに、僕を泣かすなよ」
ポロポロ涙を流しながら、僕だって彼を傷つける。
好きで朱雅くんアレルギーになったわけじゃない。
でも、彼だって好きでアレルギー源になったわけじゃないのに。
理不尽に僕に不満をぶつけられて、彼も可哀想だ。
「触りてえんだよ。触りてえけど、神楽が世界で一番、どんなやつより大切だから触れないんだよ」
「……ううっだからって、だからって、後輩に〇〇させたり、うっ」
「あー、もう、泣くなよ! お前が泣くと、抱きしめたくなるだろうが!」
髪をくしゃくしゃと両手で掻きまわした後、急に朱雅くんは窓を見上げた。
そして窓の端にまとめられていたカーテンを、ぶちぶちと引っ張って外していった。
カツンカツンと、仕掛けていた盗聴器や盗撮カメラを床に落とすのも気にせずに、カーテンを外すと、僕の頭の上にかぶせた。
「わっ」
太陽に干された匂いと、埃臭い湿った匂いが同時に僕を包んだ。
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