一、 不良になりきれないキャラが弱い、赤雅くん

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「朱雅くんの匂いがしないね」 カーテン越しに抱きしめられても、朱雅くんの匂いも体温も分からない。 強く抱きしめてほしいのに、ふんわりやんわりと包み込むように優しく触れる。 「強く抱きしめたら、アレルギーが反応してしまうかもしれないだろ」 「……まあ、そうだけど」 だから僕は抱きしめ返せない。 抱きしめ返せない。 「僕が抱きしめたら……お互い死んじゃうよね」 「まあ、な。お前だけ一人を死なせるつもりもねえし」 「……一緒に死のうって言ったら、抱きしめてくれるの?」 後輩に処理を頼むぐらい。年相応に健全にエロい癖に。 僕に触れないで、馬鹿みたいな行動で紛らわして。 ねえ、抱きしめてって言ったらどうするの? 「死ぬのも一緒って最高だけどさ。でも俺は」 少しだけ、カーテン越しに彼の手が強くなった気がする。微かに、だけど。 「やっぱ神楽とエロいことするまで死にたくないなあ」 朱雅くんは、今日も朱雅くん全開だ。 そして僕は、――そんな君に今日もアレルギー。
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