二、切なさと愛しさと下心と。

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『〇月×日 おれは、じがかける。なぜなら、てんさいだからだ。 おれは、いえもおおきなびょういんで、かねもちで、おまけにイケメンにうまれてしまった。 おれのじんせいは、チートでかちぐみだとオトナがいっていた。 ほめられているのは、わかった。けど、タイクツ。 おれにはにがてなものもないし、きようになんでもできる。 おれがいきるこのせかいは、かんたんでたいくつなのかもしれない』 『〇月×日 おれはてんさいだ。だから、なわとびがいちばんおおく、とべた。きゅうしょくがいちばんだった。そんなちいさなことでも、みんながあつまってきて、ほめてくる。 みんなにちやほやされるのも、まあわるくないなっておもっていた。 けれど、おれにちやほやしないヤツがいる。 おれがナニかちゅうもくをあつめても、ヤツはえほんをみている。おれをちやほやしない。 あいつはなにものだ』 『〇月×日 うめだ かぐら。ヤツのなまえだ。 おちそうなほど、おおきなめは、キレイなビーだまみたいだった。 けれどおれがはなしかけても『えほんよんでるから、しずかに』とクールだった。おれのことをすごいとはおもわないのか。かちぐみのちーとだぞ。 おひるねで、となりでねてみた。ガキくさいカグラはすぐにねた。 ねがおもかわいい。ちいさくひらいたくちもかわいい。おなじくらすのおんなのこより、かぐらはかわいかった。これはなにだ。どきどきする』
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