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「朱雅くん、朱雅くん」
窓ガラスをたたく音で、俺は0.1秒で窓を開く。
「どうした?」
「……夜ごはん」
申し訳なさそうにお盆ごと俺によるご飯を出しだしてくる。
本当は、俺も神楽も寮に入らなければいけない。
けれど寮の規則は厳しい上に、集団行動あるあるの自由時間がほぼない息も詰まる空間。
神楽は、アレルギーの多さとストレスに弱いことを考慮されて免除。
俺は成金パワーで免除。
副会長は夜な夜なハレムを作り強制退寮。
俺は家から遠かったので、神楽の隣の家を姉と買い取り、住んでいる。
神楽は入ることはないが、玄関を開けると赤ちゃんの頃からの神楽の写真が飾っている。
同じ部屋にいることも許されない俺は、窓ごしに神楽のご飯の毒見をする。
毒見を申し訳なさそうに見ているけれど、俺が食べた後のご飯を食べるとか、ご褒美だ。
ほぼ結婚していると思っても良いぐらい。
「いただきます」
今日のご飯は、カレイの煮つけ、里芋の煮っ転がし、お味噌汁にほうれん草の和え物。
どれも薄味だが出汁が効いていて美味しい。
「んん。神楽は俺の良いお嫁さんになるな!」
「母さんが作ったんだけどね」
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