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「……全く一緒に居られないよりは、前進できるんじゃないかなって思ったんだ」
言い終わらないうちに、神楽の両目にじわりと涙が浮かぶ。
「――泣くなよ。抱きしめたくなるだろ」
触れたくなる。涙を舐め取りたくなる。ボトルに入れて飾りたくなる。もっと泣くなら、その涙を一滴残らず飲み干したくなる。
――欲望が止まらなくなる。溢れて、理性が負けてしまう。
「急がなくていい。焦んなよ」
「だって、朱雅くん、たまに本気で犯罪者みたいに気持ち悪いし」
泣きながら、俺の盗撮や盗聴について本音を吐露しやがった。
まあそう思われるように頑張ってるんだけど。
「お医者さんの判断でたまにアレルギーの原因を少しずつ食べて慣らしていくってあるでしょ」
「あれは医者にちゃんと指導してもらうからできるの。でも俺らには、その判断を的確にできる医者はいねえよな?」
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