二、切なさと愛しさと下心と。

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「ご飯食べてくる」 「え、おやすみの投げキッスは!?」 「そんなの今まで一度もしたことないでしょ」 でも保育園の時は、給食のデザート渡したら、寝る時にキスしてくれてたじゃん。 俺も頬を膨らませてブーイングを送ると、テーブルにお盆を置いて、神楽が今度はにやりと笑った。 何か悪いことを考えている顔だ。可愛い。 神楽の顔は、可愛いかご褒美の冷たいの二つしかないけど、今は可愛い。 「僕の提案を否定した朱雅くんを、お仕置きしてあげる」 「は!?」 「……ほら」 ファスナーを下ろす音と共に、ダボダボのセーターの裾を片手でめくりあげた。 ……っと、く。 思わず拝んでしまいそうな、白い肌が見えただけではない。 可愛く凹んだ臍と、ファスナーから見える下着は、下着は、下着は! 「白!」 「ふふ。エロいだろ。今日買ったグラビアで、僕押しのなるんちゃんがしてたポーズだよ」 「ま、待って。携帯で写メとって、一眼レフで撮影して、録画させて、待って」 慌ててカメラやビデオや携帯を手に持って窓辺に戻ると、カーテンに包った神楽が冷めた目で俺を見ていた。 「か、かぐらちゃーん?」 「……ばーか」
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