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「やばい。父さんだ。こんなの見つかったら、朱雅くんが殺されちゃう」
そうだ。俺に非が一ミリもなくても、理不尽に殺されてしまう。何回蘇生したと思ってるんだ。
「朱雅くん、朝ごはんも――お願いね」
上目遣いでそう言われたら、神楽の親父に何千回殺されても構わないって思ってしまう。
構うもんか。好きだ。
「ああ。スプーン、れろれろ舐めて渡す」
つい、ガキ臭いセリフで誤魔化してしまう俺を許してほしい。
だって神楽には童貞なんだもん。神楽には。
「あはは。気持ち悪い。じゃあね。おやすみ」
触れられないから優しい。触れられないから、会話ができる。
けれど原因を作ってしまったのは俺だから耐えるしかないんだ。
「父さん、下で待っててって言ったじゃん」
「やーん。反抗期? だって食卓の盗聴器、壊し終わって暇だったんだもん。あと、パパって呼んで」
あの美麗くそじじい。神楽に甘えてんじゃねえぞ。くそ。
「いやだ。パパ、なんて子どもが言う言葉だろ」
「神楽はいつまでもパパの子どもだもん」
「……」
窓越しに聞こえる、家族の前での緩んだ声。可愛いな。
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