二、切なさと愛しさと下心と。

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「会長! 生徒会長! 朱雅くんが、教室で何か読みながらニヤニヤしてますよ」 年間スケジュールの会議をしようとも、副会長は生徒会の執務禁止。会計、書記はいまだ停学中。 僕と先生で話し合っていたはずなのに、なぜか一条先生は朱雅くんの教室へ覗きに行っていた。帰りが遅いと思ったら、何をしてるんだ。 「ニヤニヤって、エロ本でも読んでるんでしょう」 「いや、あれは日記サイズの絵本みたいでしたね。注意しなくていいんですか?」 「注意したいけど、あれが日常なので気持ち悪くても慣れてあげてください」 僕も慣れたくないけど、慣れるしかないのだから。 それよりも、この男子校で進学校のはずなのに、一般客を呼んで行う学際や、クリスマス、バレンタインという謎の行事の多さを何とかしてほしい。 「この、大きなツリーの下でプレゼント交換っていうクリスマスパーティーと、バレンタインは廃止でいいですよね。去年は会計も書記も副会長も反対しましたが、今は誰も廃止できなさそうだし」 「だ、だめですよ。そんなの、女性と触れ合えない寮生活の生徒が、半狂乱で暴れまわりますよ」 「……だったら、近くの女学院と合同クリスマスパーティーしましょうよ」
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