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ざわめく体育館で、僕は全校総会で今年の行事について、去年の問題点により改ざんしたことを報告しなければいけなかった。
けれど体育館で座ってだるそうに聞いている生徒はほぼ僕のことなんてみない。どうでもいい集会に退屈そうにしていた。
『静かにしてください。静かにしてくださーい』
生徒会顧問の一条先生が必死でマイクで呼びかけても、全国から集まってきた名家のお坊ちゃまたちは庶民の一条先生の話は聞かない。
もちろん、庶民代表の僕の言葉なんて絶対に聞かない――はずだった。
「お前ら、静かにしろってんだろーが!」
一番後ろで、偉そうに座っていた赤雅くんが大声で叫ぶ。
その瞬間、しんっと静かになった。
190センチ、染めてないけど色素の薄い茶色の髪。ピアスじゃらじゃらの耳。
制服はサイズが合わないからといつも気崩してるし、目つきは悪い野良犬みたい。
睨まれたら、三人ぐらい壁にぶつかってめり込んでしまうんじゃないかってほどの眼力。
おまけに声はでかいし態度は大きい。それに――そこらへんの一般人より明らかにイケメン。
そして大宮病院の御曹司。家柄、顔面レベルから人より抜きんでている。
難があるといえば性格ぐらい。
「あのなぁ! 生徒会長の声の録音と、録画してんだよ、俺は! 次、死語したやつ、まじ無事で生きてられると思うなよ」
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