秘密の書

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 その文明は永遠であるかに思われる隆盛を見せたが、しかし彼らの文明は既に進化の道を途絶えていた。もはやこの星から脱出することかなわず、南極大陸に築いた大いなる街に身を寄せるのみであった。その後、偉大なるYITHが襲来し、古のものどもの大半は地下に追いやられ、狂気の山脈を墓としたことは、H・P・ラブクラフトの描いた『時間からの影』に記されるとおりである。  さて、偉大なるYITHが時間の秘密を解き明かし、地球には眠れるUbbo-Sathraと粘液状のShoggothたちが残されることとなった。Ubbo-Sathraは依然惰眠を貪り、Shoggothには知性を与えられなかった。  故に、彼らはまず海に潜った。そこで彼らは、彼らの身体は星の上で生きる生命として不適切であると知った。無数に分離し、その身体を海に溶かさぬように膜で覆った。  原初の生命、原初の細胞、始まりの真核生物の誕生であり、これより現代に至るまでは、生命の痕跡が示す通りである。
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