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「オオカミは赤ずきんのことをそんな風に思ってたってこと?」
「皆が知っている赤ずきんちゃんとは違うお話のことを言ってるんだよ。
パパはママが小さい時に一緒に童話のもうひとつのお話を考えるのに付き合ってくれたの。パパの発想が本当に面白くてね、ママ大好きなのよ」
「・・・もっと言って」
「愛に飢えてるってどういう意味?」
燿馬が俺の肩に脚をひっかけながら聞いてきた。
「腹が減ってるのに飯がないと辛いだろ?
愛もな、ないとつらくなっちまうんだよ。
誰の愛でも関係ないってわけじゃなくて、ママやパパやじいさんばあさんや、色んな人のやさしさや思い遣りをかけて貰わないと、心がカラッカラに渇いて苦しくなんだ」
「・・・じゃあ、愛ってものすごく大事なんだね。水飲みたくなるのと似ているね」
まともな会話になっているせいか、あっけに取られる。
燿馬は満足したのか、さっさと自分の世界に戻って行った。
「時々、普通になるな」
「そうだね」
気まぐれなのか、性格なのか。
とにかく、燿馬は今後どんな成長をしていくのか目が離せない。
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