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爆弾を扱っているような気分で、燿馬の機嫌を損ねないようにしているのもなんか違う気がして・・・。
よくできたマネキン人形みたいな燿馬。
目を開けたまま気絶したりと、奇妙なことばかりだ。
夏鈴がいてくれてよかった。
恵鈴が賢い子で助かった。
俺も少なからず小さい頃の自分はとても変わっていたとよく言われるから、燿馬のことをつべこべ言えないし。それに、燿馬が周りに関心を持てないのは俺のせいかもしれなくて、東海林家にはそういう血脈があるんじゃないかって気がしてならない。
いつだったか柿谷さん(寺の住職で、晴馬の母親の元恋人:浮気相手)が言っていた。
俺の親父を選んだ篤子(晴馬の母親)のことをしばらく理解できなかったと。
親父は数字に拘るオタクだったそうだ。
学生時代はなんでもそっちの話に持っていくから、普通の会話が成立しなかったとかなんとか。でも、おふくろは親父を選んだ。姉貴がおふくろから聞いた話だと、親父は確かに変わっていたけど心が綺麗で信頼できたんだと・・・。
でも、純粋過ぎて白黒つかない事を許容できない性格で、割り切れない数字を嫌っていた。
税理士になって一番苦労していたのはきっと、クライアントのグレーゾーンに拘る視点と親父の白黒つけたがる性格がミスマッチした時の葛藤だった、そうだ。
俺も空間デザインの仕事をするにあたって、曖昧な状態の死にゾーンがあることがどうしても気持ち悪い。きちんとした活きた空間にしたくてしょうがない。白黒つけたい。
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