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それは青い生地で星模様が散りばめられた薄い綿布だった。靴下のカタチに切り取ったそれを、運針でちくちくと縫い合わせるとあっという間にプレゼント入れのくつしたになる。
赤いリボンと白いリボンのおそろいを二つ。
夏鈴はこういうざっくりとしたようなものを手際よく作る。
下書きなしで、大胆に、だ。
俺とは違って、だいたいこんなかんじっていうのが夏鈴の得意技だ。
俺は一度製図してからじゃないと無理だ。
そういうところが俺達の違う部分。
「いた!!」と悲鳴を上げた夏鈴の指先から、血の水玉が浮かび上がった。
俺は咄嗟にその指を掴まえて咥えた。
夏鈴が吃驚して「子供達の前なのに」って言うから、そんなスケベ根性でしてるわけじゃないって言い訳したくなったのを我慢した。
「ママの血、おいしい?」
燿馬が白い顔でそんな奇妙な質問をしてきたから、俺は言ってやった。
「おいしいよ。俺はママの総てが美味しくて大好きだ」
「ママ、全部食べられちゃったの?」
「そんなわけないでしょ?」
「だって、パパが・・・」
「俺はオオカミだからな。ママは俺の赤ずきんちゃんなんだよ」
「なにそれ・・・狼は悪いヤツなんでしょ?」
「オオカミは愛に飢えているだけで、悪いヤツじゃないよ」
「・・・ふうん。そうなんだ」
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