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珍しく俺が先に目を覚ました。
朝は殆ど夏鈴の方が早い。
愚痴も弱音もなかなか言わない出来過ぎた女が、だらしなく蕩けた顔を俺だけに見せてくる。
俺だけの女の顔になる。
一秒でも長く一緒にいたい。
一日でも長く夏鈴と愛し合ってから死にたい。
もうすぐ40歳になる俺は、前よりもわずかながらに死を身近に感じてしまう。
順当に考えたら俺の方が早く死ぬかもしれない。
寿命が終わるときも一緒が良いなんて、本気で思っているが。
今日、病院で検査結果を聞く。
どんな結果だろうと、俺は夏鈴を支える。
夏鈴よりも落ち込んだりなんかしないで、ちゃんと支えになってやらなくちゃ、な。
夏鈴を起こして一緒に朝飯を支度した。6時45分には子供らを起こして、洗顔・着替えをさせた。トーストにハムエッグを乗せてかぶりつく今朝の朝食は、少しだけ焦がしてしまったが子供達は何も言わずに食べ終えると、借りていた図書をカバンにつめて7時45分に保育園まで歩いて送って行った。
息がすっかり白い。今朝は千歳から北側は雪が降ったらしい。キリリとした空気の中、俺達は無言で歩いた。
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