晴馬の誕生日

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夏鈴が休みなことを知った他の子供達が群がってきて、なかなか保育園から引き上げるのに時間がかかった。 「大事な用事でお休みするのよ。また明日ね!」と明るい声で皆に挨拶を済ませ、夏鈴は駆け寄ってきて俺と手を繋いだ。 周囲の視線なんか気にならない。 俺達はいつだって手を繋いで歩く。 「耳が痛いね」と、真っ赤になった耳を髪の毛の中に隠した。 「帽子、かぶれよ」 「うん。そうなんだけど・・・チクチクするんだもん」 「じゃ、新しいの買ってやるよ。チクチクしないやつ」 「うん!」 「晴馬は平気?」 「俺は平気だ。耳がもげそうなぐらい痛くても、すぐに痛みは消える」 しもやけの痛みは、最初だけだ。 血が集まってきて熱くなって、細胞を活性化させて凍傷から身を護る。身体が元気なら、この程度の寒気に皮膚は痛まない。 俺達が並んだら、やっぱり俺は夏鈴よりも10歳老けているって見えるんだろうか? 「晴馬。病院終わったらデートだね」と、夏鈴がまるで女子高生の頃のように微笑んだ。 27歳になっても変わらない若さと美しさ、心の綺麗さ・・・。 俺のハートにまた天使の矢が突き刺さりやがった。
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