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ふと、夏鈴を見ると甘えたそうな目で俺を見上げていた。
「どうした?」を、目だけで送ると、夏鈴はゆっくりと瞬きをする。
キスしろって言ってる・・・。
後ろの連中はスクリーンの中のラブシーンに夢中のようだから、俺は夏鈴に軽く口づけをした。キャラメルポップコーンとコーラの味が混ざり、同じものを食ってるのにもっと甘くて美味しく感じられてしまう。おかわりが欲しくなって、長いキスをしたら後ろから咳払いが聞こえてきた。
顔を離して、くすくすと二人で笑っちまった。
夏鈴の新しい帽子や、俺の靴を買う。
そして、スタバのソファで身を寄せ合いながら珈琲を飲んだ。
いつだったか、こっちに帰ってきたばかりの頃にここで一人寂しく珈琲を飲んだことを思い出す。カップルや家族連れを見て嫉妬して、寂しくて死にそうだったあの頃・・・。
「大したことなくて、本当に良かったな」
「そうだね」
「万が一のことも考えて、覚悟決めたのにさ」
「うん・・・私も」
それから、俺達は巨大複合施設を出て食事に行った。夏鈴が好きなイタリアンのカジュアルレストランで腹ごしらえすると、市内を一望できる展望台に行きたいと言われて連れて行ってやった。
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