晴馬の誕生日

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「北海道に戻ったのは一月の終わりだった。 それから、俺はお前に会いたくても会うのを躊躇って一人で過ごしたんだよ。あの時の孤独感があるお陰で、こうして飽きることなくお前を求め続けられるのかもな」 そう言うと、夏鈴から俺に熱いキスをしてきた。 今すぐ抱いてくれ、って顔に書いてあるような、そんな悩ましい表情を浮かべた妻を抱き上げて、俺は車の後部座席に連れ込んで重なり合った。 「ここでする?」 「誰か来たら・・・やだ」 「じゃ、どっか行く?」 「・・・うん」 近くの適当なラブホでもいいのだろうか? そういう場所は、真剣に愛し合ってない連中が抱き合った場所かもしれない。そんな不純な空間に俺達の愛を持ち込んで、何か障りがあってはいけない気もする。 「ちょっとドライブになるけど」と、俺は夏鈴にシートベルトをつけさせてから運転席に戻って走り出した。 少し遠いけど、行って帰ってこれない距離じゃない。 山道の国道を若干ハイスピードで走っていくと、やがて大きな湖に出る。その付近にはいくつかの温泉街が存在していて、個室リフォームで関わった案件の宿に問い合わせたら、快く部屋を貸してくれることになった。番頭さんは妻を見て微笑み、部屋を案内して去り際に「誰もいらっしゃらないのでご存分に楽しまれて下さい」と意味深な言葉を残した。 湖を見ながら個室露天風呂のあるその部屋は思いのほか広々として、俺達はまず露天風呂で愛し合った。
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