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「なあ…。オレのマンションで一緒に暮らさねぇ?」
嫌な思い出が沢山詰まったこの部屋を出た方がいいんじゃないかという、彼からの提案だった。
「ありがとう……でも…」
日数は少ないが、藍との思い出もたくさん詰まってるし、何より安堂達に負けて逃げ出すみたいで嫌だった。
「オレ…この部屋で、克服するよ。じゃなきゃ、意味が無い」
「そっか……そうだな」
意表を突かれた顔をしていたが、直ぐに、いつもの穏やかな微笑みで、答を返してくれた。
「それじゃ…インテリア買いに行かねーか?」
「へ…?」
「雰囲気が変われば、その……気分も変わるんじゃねぇかな?…と、思って…」
とても言いづらそうに、首の後ろを掌で擦りながら話してくれた。
言いたい事は、わかった。
「ありがとう。じゃ…一緒に選んでくれる?」
「おっ…おう」
少し顔を赤らめて、視線を逸らした藍。
照れてる?
普段は、あんなに強気で攻めてくるクセに、
こんな会話で赤くなるなんて…
可愛い…。
こんな表情を見れるのは、オレだけだよね。
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