2 向川祭

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え…っ? よく知っている声 世界で一番好きな声 「紫津木か…」 うそ…っ 嘘 嘘 うそ…! 本当に藍なんだ…! オレの背後に立ってるから、顔は見れないけど… 声だけなのに、胸の奥がキュンと痛くなる。 今朝、玄関先まで見送ったクセに… もうこんなにも焦がれてるなんて… 「何もねぇよ。ただ…この女」 ああ! でも、ダメダメダメ! こんな格好見られたくない! 藍にだけは…!  絶対引かれるし、 それに、黙って来たのバレちゃう! 「オレの彼女が、何か失礼な事したんスか?」 ぇ…?    今……なんて? 「チッ……お前の女かよ」 ぇ…ぇ…?    ええっっ!!   バレた?! 何で?!   リーダー格らしい男が、他の男達を顎で促すと、オレの横を通って、教室を出て行った。 完全に居なくなるまでの間、 怖くて怖くて、自然と拳に力が入ってしまった。 「北本」   来た…! どうしよう…北本君が叱られる… 「お前の彼女なら、ちゃんと守ってやれ」 へ?! 「違うのか?」
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