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教室を出て、少し離れてから、オレは、北本君に謝罪した。
だけど、北本君は__、
「ん?何で謝るの? オレのほうが悪いでしょ…?その…‥」
「オレ…いろいろトラウマがあって‥‥」
なんて説明すればいいのか、頭の中で、ごちゃごちゃ考えていると
「そう言えばさ…アイツ…守ってやりたい…て、いつも言ってたんだ」
え…?
「ちゃんと見てんだな。 オレなんか、愛ちゃん震えてることに気づけなかった」
「え…でも、オレだって事わかってなかったでしょ?」
と、北本君を見上げると、前を向いていた彼は、なぞなぞの答えを教えるかのような、したり顔の笑顔で、こう答えた。
「常に、愛ちゃんの姿を見守っているから、あんな事態に直ぐ対処出来たんじゃないかな。それに」
それに?
「『オレの彼女』の顔を見ようともしなかったよね」
確かに…。
「愛ちゃん以外、興味無い証拠だよ」
うっ‥…
北本君は、そういう事をさらりと言う。
どんな顔をすればいいか迷ってしまう。
「早く紫津木に会いたいだろうけど、もう少しオレにつきあってね」
「?…はい」
「これから体育館に行って、出てもらうから」
「何に?」
「ミス向川コンテストに」
は?
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