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「はい…お久しぶりです」
『お…おおっ。…で、紫津木は?』
「お風呂に入ってます」
『ああ……お風呂ね……て、ふ…ふろぉ?!』
「?…はい」
『………』
「え…っ?あ…っ…ち…違うんです! あ…あの…汗かいたから…夕飯前に入りたい……あっ……イヤ…変な意味じゃなくて…道場の帰りみたいで…あの……」
そこまで話すと、電話の向こうから笑い声が聞こえてきた。
「北本君?」
『あ?…ああ、ごめんね。 そんなに言い訳しなくてもわかるから、大丈夫だよ。 紫津木が、愛ちゃんのこと大事にしてて、まだ手を出してない…ていう話でしょ?』
「ち…違います!」
『あれ?そうだっけ? まあいいや』
良くないけど…
『愛ちゃん…明日のことで、紫津木から何か聞いてる? あいつ、重大な作戦会議の途中で帰りやがったから』
「いえ……何も。 明日、何かあるんですか?」
『あれ?もしかして、何も聞かされて無いの?』
その言葉にチクッとして、心臓の辺りが痛む。
「はい…」
『ああ…。親善試合ん時と同じパターンだな…』
そう呟いた後、北本君は、黙ってしまった。
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