1 藍の隠し事

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電話の向こうから、溜め息が聞こえた。 「あの……北本君?」 『ああ……ごめんね。 ただ…あいつ、どうしようもねぇな。と、思ってさ』 「明日…何かあるんですか?」 『ん~』 北本君が何かを言いかけた時、リビングの扉が開いて藍が入ってきた。 スウェットのパンツを履いて、上半身は裸のままの藍は、バスタオルを肩にかけて、乱暴に髪を拭いている。 「ごめんね、北本君。藍がお風呂から上がってきた」 と、何故か小声になってしまう。 『そうか。わかった。 それじゃ、愛ちゃんのケー番教えて。明日連絡するから』 ケー番を小声で教えていると、髪をわしゃわしゃ拭いてる藍と目が合った。 藍の携帯だってこと、バレた? 『わかった。ありがとう。それから……これだけは信じて欲しいんだけど…』 「?…はい」 『紫津木は、愛ちゃんの事裏切るようなマネは、絶対にしてないから』 「北本君…」 『だから、今夜は安心して紫津木の腕枕で、おやすみなさい』 「えっ…」 『それじゃ、そこに居る馬鹿に替わってくれる?』 藍の近くまで行き、携帯を差し出すと 「ん?オレの携帯? つーか、誰から?」 髪を拭きながら携帯を受け取ると、 「はい? 北本?!お前、愛に何吹き込んでんだよ!真っ赤な顔してるぞ!」
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