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電話の向こうから、溜め息が聞こえた。
「あの……北本君?」
『ああ……ごめんね。 ただ…あいつ、どうしようもねぇな。と、思ってさ』
「明日…何かあるんですか?」
『ん~』
北本君が何かを言いかけた時、リビングの扉が開いて藍が入ってきた。
スウェットのパンツを履いて、上半身は裸のままの藍は、バスタオルを肩にかけて、乱暴に髪を拭いている。
「ごめんね、北本君。藍がお風呂から上がってきた」
と、何故か小声になってしまう。
『そうか。わかった。 それじゃ、愛ちゃんのケー番教えて。明日連絡するから』
ケー番を小声で教えていると、髪をわしゃわしゃ拭いてる藍と目が合った。
藍の携帯だってこと、バレた?
『わかった。ありがとう。それから……これだけは信じて欲しいんだけど…』
「?…はい」
『紫津木は、愛ちゃんの事裏切るようなマネは、絶対にしてないから』
「北本君…」
『だから、今夜は安心して紫津木の腕枕で、おやすみなさい』
「えっ…」
『それじゃ、そこに居る馬鹿に替わってくれる?』
藍の近くまで行き、携帯を差し出すと
「ん?オレの携帯? つーか、誰から?」
髪を拭きながら携帯を受け取ると、
「はい? 北本?!お前、愛に何吹き込んでんだよ!真っ赤な顔してるぞ!」
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