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次の日、北本君が電話をくれたのは、夕方近くになっての事だった。
『ごめんね。思いの外忙しくて。 紫津木パワー舐めてたわ』
「え…っと…?」
『ああ、ごめん。きちんと説明してなかったね。 実は、今日と明日…』
『オイ!北本!まだ仕事終わった訳じゃねぇんだぞ。 女に電話なんかしてんな!』
『違ぇわ、ボケ!』
え?…今の
「藍?」
『ん? ああ、そうだよ』
「なんか忙しそうだね」
藍の声だけじゃなくて、複数の怒号が飛び交っている。
『場所変えるね』
暫く北本君の息遣いだけが聞こえていたが、
『この辺でいいか…』
と、北本君が話した所は、本当に周りに人が居ないんだなと思わせるように、雑音が消え、北本君の声が良く響いた。
『実は、今日と明日、向川高の文化祭なんだよね』
「え…っ?と…文化祭…?」
なんか…意表を突かれたというか…肩すかしというか…
なんだ…ていうか…なんで隠したのかな?
『今日は、校内向けで、明日が一般公開なんだけど…うちらのクラスの出し物が、まあ…ありきたりの喫茶で…んで…少しでも売り上げを…と思って、厨房希望だった紫津木を無理矢理ホールにしたら、大変な騒ぎになって……』
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