3.藍のアパートで…

24/32
前へ
/86ページ
次へ
「オレは、お前が思ってくれてるような…綺麗な人間じゃない……」 藍…? 微妙に声が震えてる気がして、ゆっくりと藍の方に身体を向けた。 藍はオレに背中を向けて、ベッドに腰掛けていた。 その肩は震えていて、そんな背中を見ていたら、胸がキュッて、なった。 「…だから…女達が見てきたオレの表情なんて…お前は知らないでいいんだ」 ああ…オレは、藍に何て事言わせてんだ。 自分の独占欲が強いせいで、ごめんなさい…。 でも…でも違うよ藍。 オレは、背後から藍を包み込むように、そっと抱きしめた。  藍は、ビックリしたようで、ピクリと肩を揺らした。 なんか、それすら愛しい。 「愛…?どうした?」 「藍が、全然わかってないからでしょ」 「…何…言ってんだ?」 「藍は、女の子達に、そんな酷い事してないよ」 「何言って…」 振り返ろうとした藍を阻むように、藍の肩に顎をのせて、話しを続けた。 「そりゃ…現場見てた訳じゃないけど… でも、わかるんだ。 今日だって、藍の事悪く言う人なんて、1人もいなかった。 藍が言うような事やってるとしたら、悪い噂だってあるだろうし…、それにね、藍を見るみんなの目を見たら、わかるよ。 藍を嫌ってる人なんて、1人もいないって」 「だが、オレは…!」 「アイツらとは、違うよ! オレを弄んできたアイツらとは違う!」 藍の肩が、僅かに動いた。 やっぱり…ずっと苦しんでたんだ…。 自分も、同じじゃないか?…て。
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

564人が本棚に入れています
本棚に追加