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「オレは、お前が思ってくれてるような…綺麗な人間じゃない……」
藍…?
微妙に声が震えてる気がして、ゆっくりと藍の方に身体を向けた。
藍はオレに背中を向けて、ベッドに腰掛けていた。
その肩は震えていて、そんな背中を見ていたら、胸がキュッて、なった。
「…だから…女達が見てきたオレの表情なんて…お前は知らないでいいんだ」
ああ…オレは、藍に何て事言わせてんだ。
自分の独占欲が強いせいで、ごめんなさい…。
でも…でも違うよ藍。
オレは、背後から藍を包み込むように、そっと抱きしめた。
藍は、ビックリしたようで、ピクリと肩を揺らした。
なんか、それすら愛しい。
「愛…?どうした?」
「藍が、全然わかってないからでしょ」
「…何…言ってんだ?」
「藍は、女の子達に、そんな酷い事してないよ」
「何言って…」
振り返ろうとした藍を阻むように、藍の肩に顎をのせて、話しを続けた。
「そりゃ…現場見てた訳じゃないけど…
でも、わかるんだ。 今日だって、藍の事悪く言う人なんて、1人もいなかった。
藍が言うような事やってるとしたら、悪い噂だってあるだろうし…、それにね、藍を見るみんなの目を見たら、わかるよ。 藍を嫌ってる人なんて、1人もいないって」
「だが、オレは…!」
「アイツらとは、違うよ! オレを弄んできたアイツらとは違う!」
藍の肩が、僅かに動いた。
やっぱり…ずっと苦しんでたんだ…。
自分も、同じじゃないか?…て。
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