3.藍のアパートで…

25/32
前へ
/86ページ
次へ
たぶん…オレの事後の姿を見て… 女の子の姿と重なったんだろうけど… 「……女の子は、幸せだったと思うよ…藍に抱かれて。 たとえそれが、一回きりだとわかっていてもね。それに…」 次の言葉を言う前に、一呼吸置いた。 アイツらと、藍の決定的に違うところ。 それは… 「藍は…相手の気持ち…無視したりしないだろ? 強引に…ヤったりしない…だろ?」 最後の方は、本当に小声になってしまって… 藍に聞こえただろうか…? でも、その心配は、無用だったみたい。 振り返った藍は、少し怒ったような顔をしていて……、それに驚いているスキに、思いっきり抱きしめられた。 「藍…?何か…怒っ…」   「馬鹿か?お前は…!」 「…ぇ…?ば…っ…?」 「さっきも下で言ったろ? 自分を大事しろって」 「?…うん…」 「オレの気持ちを上げるために…自分を…下げてんじゃねぇ…よ」 ぁ… 「…サンキュ…な…」 藍… 「愛…お前が、なんで泣いてんだよ」 「…ぇ…な…ぁ…藍が、泣いてるから…」 「…泣いてねぇよ」 藍は、クスッと笑うと、オレの額に額をつけて、「愛してる」と囁くと、顔をゆっくりと離した。 「一生、守ってやるって、誓ったのに…お前に、救われたな…」 藍は、オレを見つめて、照れ笑いを浮かべていた。
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

564人が本棚に入れています
本棚に追加