1 藍の隠し事

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『愛ちゃんは、紫津木のこと藍って呼んでるだろ?』 「?…はい」 『それは、紫津木が呼んで欲しいって言ったからなんだろ?』 「……そうだけど…?」 と、答えるのと同時に、言われた時の状況を思い出し、急激に顔が熱くなった。 『だったら、もっと自信持ってもいいんじゃない?』 「え……?何で?」   『明日来れば、わかるよ』 そうなの…? 『じゃ、来てくれるね?』 「…はい…」 今一つ納得いかないまま電話が切れて、そのうち夕飯の時間になり、 藍が家に帰ってきた。 「ただいまあ。今日、すっげぇ疲れた」 オレを抱きしめて、肩に額をのせた藍。 「信じらんね。殺人的だった」   まあ…そうだろうな。想像しただけでもわかる。 「明日は、もっと疲れることさせられるんだよな…」 一般のお客さんが、来るから…て事? フフッ…藍は気づいて無いみたいだけど、藍は仕事に対して、“させられる”ていう言葉は使わないんだよ。 まあ、藍は嘘はつけないから、明確に仕事とは言ってないけど… 訊いたら答えてくれるのかな? でも…やめとこ。困らせたくないし…。 「シャワー浴びる前に、癒やされたい」 「それって…?」 「こういう事」 藍は、ひょいとオレを立ったままの状態で持ち上げると、そのまま寝室に入った。
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