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萎縮してしまって、藍のシャツを握り締めると、藍は、穏やかな表情でオレを見上げた。
「何もしねぇよ。ただ…」
その状態のままベッドに倒れると、緩く抱きしめてきた。
「こうやって、愛の体温を感じたいだけだから」
「藍…」
オレも感じたくて、藍の胸に顔をうずめ
た。
「藍…」
この名前に何か意味があるのかな…?
答が知りたくて藍の顔を見ると、瞳を潤ませ、何かを堪えているような表情だった。
「藍…?」
オレの問い掛けに我に返ったように、瞼をパチッとすると、すぐに視線を逸らした。
「悪い。シャワー浴びてくる」
そう言い残して、ベッドを後にしてしまった。
誘っておいて、すぐに行っちゃうなんて、ずるいよ。もー。
オレは、藍のまだ温もりが残るシーツの上で身体を丸めながら、やがて消えてしまうであろうその温もりに、未練がましくすがりついた。
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