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「本当に仲がいいな。羨ましいよ」
そう言ったそいつに俺はなんとなく視線を向けてみた。
そこにあった顔は相変わらずの顔だった。
眼鏡の似合う知的な整った顔。
「それ、嫌味? アンタらのところに比べたらウチらなんて生温いもんでしょ?」
「嫌味じゃないさ。俺の素直な気持ち」
そいつはそう言うと俺を振り返って微笑んでまた『久しぶり』と呟いた。
だから俺はそいつに『久しぶり』と答えてニヤリとしてみた。
「それにしても随分と春・・・春海のこと、騙してんだね」
俺は自分の席に向き直って冷めたブラックコーヒーをとろとろと啜った。
「いずれはちゃんと言うよ。今はちょっとしたおふざけの時間」
おふざけ・・・。
「・・・アンタらどっちもマジってこと? お互いにマジなの? ガチなの?」
俺は春海からのLINEを読むのがめんどくさくなってスマホの電源を落として後ろのヤツからの答えを待った。
「どちらもマジでガチなんじゃない? 知らないけどさ」
そいつのその返答に俺は大きな溜め息を吐き出してそいつのいる席へと移ってみた。
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