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「はぐらかすなよ。ちゃんと答えられるだろ?」
俺はそう言って薄い笑みを浮かべているそいつの整った顔をじっと睨め付けた。
「じゃあ聞くが・・・はじめから種明かしをされたマジックを面白いと思う?」
そいつのその言葉に俺はまた大きな溜め息を吐き出した。
「マジックの話なんて今はどうでもい・・・」
「同じだよ。雛」
そいつは俺の唇に長い右手の人差し指を押し当てて妖しく微笑んでいた。
嗚呼・・・やっぱり・・・敵わない・・・。
「雛。人生は楽しんだモノ勝ちだ。わかるだろう?」
そう言ったそいつは有無を言わせない目付きで俺を見つめてきていた。
だから俺は仕方なくそいつから視線をそらし、顔をもそらした。
そうしないと食われてしまいそうで怖かった。
「雛。これからの予定は?」
「え? 予定? ・・・友利先輩が帰って来るまでないけど?」
俺がそう答えるなりそいつはニコリとした。
嗚呼・・・嫌な予感がする・・・。
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