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「アンタらさ・・・本当に質が悪いよね。昔から。普通に嘘を吐くし」
俺の言葉にそいつは『ははは』と笑ってエンジンを掛けるとシートベルトをしてなんの合図もなく車を出した。
だから俺は少し慌ててシートベルトをして大きな溜め息を吐き出した。
少し身体が重いのは昨日の夜、あまり寝ていないからだろう。
「雛。俺の名前を呼ばないのはどうして? 俺のこと、嫌いになった?」
そいつの問いに俺は堪らず吹き出した。
「好きだよ。大好き。すぐに全裸にしてヤりたいくらいに」
俺はそう言って横目でそいつの整っている顔を見つめ見た。
「へぇ~・・・? そんなに俺のこと、好きなんだ? 行き先はホテルでいい? 近くにあるけど」
そいつは微笑みながら運転していた。
相変わらず真偽のほどがわからない微笑みだ。
第一、本当にどちらなのかわからない。
本当に・・・どっちだ?
「うん。いいよ。ホテルで」
俺はそう言って目を閉じた。
少し、寝よう・・・。
そう思って。
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