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今も半そでのTシャツから伸びる筋肉質な腕に抱かれて満足そうに喉を鳴らしている。
慌てて手を伸ばすと、静はウィルをそっと直人の手の中に下ろした。ウィルは身軽に直人の腕を駆け上り、肩を伝って部屋へと入って行った。
ウィルを渡し終えても、静は直人の手を放そうとしない。
「…………」
イケメンに無表情で手を握られると怖い。
反射的にへらりと笑いかけてみたが、静は不機嫌そうに黙り込んだままだ。
眉間の皺を深くし、掴んでいた直人の手をー…、
「痛い痛い痛いいたい!」
ぎゅうぎゅうと渾身の力をこめて握ってくるからたまらない。
悲鳴をあげた直人を楽しそうに睥睨し、歌でも歌うような口ぶりで尋ねてくる。
「誰が暴力的だって?」
「まさに今!現行犯だろ!?」
「繊細な俺の心を傷つけた罰」
「心っていうか、物理的におれの手がダメージ受けてるんだけど!」
「形ないものの方が償うのって難しいと思いません?」
「ごめん!ごめん悪かったってば」
涙目になって謝ると、静は満足したのかようやく手を離してくれた。
掴まれていた腕を振って痛みを逃す直人を見やる静は、あまり見ないくらい機嫌が良さそうだ。
「お前、おれのこと虐めて楽しい?」
「すごく」
真顔で答えられ、シンプルに性格が悪いと確信する。
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