第13章 愛ある生活

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第13章 愛ある生活

思い返せばいろいろあった温泉旅行も無事終了。帰り道、SAで車を停めて休憩中、思いおもいに売り場をそぞろ歩いてあれこれ見て回ってる時にそっと隣にやってきた高松くんに耳打ちされた。 「まな。…あの、昨夜のことなんだけど」 「ん?」 何の気なしに振り向くと心なしか顔色が悪い。声を落としてぼそぼそと呟くように続けた。 「俺、考えてみたら。あの時、ゴムもつけないでそのまま中で…。本当ごめん、そこだけはちゃんとしようと思ってたのに。興奮して頭に血が上って…。どうしよう、まな。大丈夫かな。妊娠とか」 「ああ…」 わたしは曖昧に濁す。まぁね、あの展開で。風呂場に避妊具なんか用意してるわけないし。部屋に取りに行くからちょっと待って、とか言うのも。いやそこはどんな状況でも絶対きちんとしなきゃいけないとこだけど、本来。 とりあえず青ざめてる彼を励ますように笑顔を見せた。 「そこは大丈夫。平気だと思う。…えーと、あの」 ちょっと迷ったけど結局正直に告げることにする。隠しておくようなことでもないのかも。 「あの、少し前から。クリニックで処方してもらって…、ピル飲んでるんだ、実は。やっぱり何か間違いがあったら駄目だと思って、そこは」     
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