第13章 愛ある生活

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「シンはきっと彼女と別れないだろうし結婚も秒読みだから遅かれ早かれ脱落する。リクはああいう奴だし、女の子は放っといても向こうから次から次へと寄ってくるからそのうちそっちに気が逸れるだろうと。そしたら俺だけがここに残ることになる。まなと二人きりになれるって、当然思ってたのに。目算が狂ったよ」 「…うん」 どう反応していいのか。戸惑いつつ彼の唇を自分の口に受ける。しかし、そっか。 長崎くんが抜けて高松くんも抜けて。自然と上林くんと二人になってた可能性もあるんだ。全然想像できないってほどじゃないけど。 そしたらどうなってたんだろう。まあわたしのことだから。それは困る、って断ることもできずにずるずると続けていたんだろうな。でも。 ちょっと疑念がよぎる。一方で上林くんと二人きりで関係を続けてたとしたらそれはさすがに彼氏彼女でしょ。だとしたら、それを隠し続けて何食わぬ顔でリュウと会い続けてるのっておかしくないか。 付き合う相手ができた、って正直に告げてリュウとの距離を適正に取るってのが筋ってもんだろう。でも、だとすると。 わたしは内心でやや混乱する。今はどうしてこのままでいいってことになるのか。相手が三人だから? 表沙汰にできない関係だからリュウに隠し続けて普通に会っててもいいってこと?本当はそれじゃいけないんじゃないか。 もしかしたら。もっと早くに思いつかなきゃいけないことだったのかもなんだけど。     
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